ノルウェー語講師・青木順子さんのエッセイ > endoの記事
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シュリンプパーティ

例えば港町のベルゲンに行くと、ボイルした甘エビのオープンサンドがたくさん売っています。
また、ノルウェーの夏、誰かの家に行くと、しばしば、エビがたくさん用意され、みんなで殻をむき、
パンに乗っけて食べるという経験は何度かしました。
「エビの頭においしいエキスがあるのよ!」とノルウェー人の友達が言うので、ちゅーちゅー
エビの頭を吸った経験があります。

ベルゲンの魚市場

ベルゲンの魚市場

そんなシュリンプパーティを、7月にノルウェー大使館で体験することができました。ノルウェーを
おしゃれに紹介する「Style Norway」主催のパーティに、北欧ヴィンテージショップStickaの
森さんに誘ってもらい、もぐりこむことができたのです。
大使館のプールを眺めながら、立食で、大量のエビを満喫。いつもは立食パーティが苦手ですが、
100%楽しむことができ、「このパーティを家でもやってみたい!」と野望を抱いたのです
(もちろん家にはプールなどありませんが)。

シュリンプパーティ@ノルウェー大使館

シュリンプパーティ@ノルウェー大使館

まずはノルウェー産のエビの調達です。北欧雑貨や食材を扱っている「アクアビットジャパン」で
販売しているので、注文しました。そして、何度かホームパーティを行っている「北欧部」の面々
(北欧ヴィンテージFukuyaの三田さん、Stickaの森さん、スウェーデン料理研究家のハナトモさん、
ノルウェーサッカー通のねんねんさん)にお声をかけ、9月に拙宅で総勢8人による「シュリンプ
パーティ」を行いました。

みなさん、私が料理に難ありなのを知っているので、十分すぎるほど差し入れを持ってきてくれました。
お蔭で注文したエビは余ってしまうほど・・・。

北欧に精通しているメンバーなので、話題は尽きません。「こんな新ビジネスどう?」って言いながら、
下らなさに爆笑する楽しい会でした。

差し入れのフィンランドのパイ from 北欧部

差し入れのフィンランドのパイ from 北欧部

さて東京は、10月になってもまだ暑い日が続いています。

知り合いのノルウェー人留学生J君と家で仕事をする必要があり、時間が遅いので夕食を用意する
ことにしました。「ノルウェーのシュリンプを用意して喜ばせよう!」と思いついた私は、もう一人の知人の
ノルウェー人留学生F君も誘い、3人で小規模なシュリンプパーティを催すことにしました。

実はちょっとした下心があったんです。
ノルウェー人とシュリンプパーティをやったら、おしゃれな雰囲気になって、このエッセイの
いいネタになるかなぁ~って。
「素敵な北欧人とのほっこりホームパーティ」みたいなイメージだったんですけど。
だから、食材や白ワインの調達など張り切りました。
当日。さすがに2人は、ノルウェー産のエビの山盛りをみて、「お~」と感動してくれました。
3人そろってエビの頭をちゅーちゅー吸いながら、バケッドに殻を剥いたエビを並べて、
ディルを乗っけて食べていきます。

お澄まし気味のF君とJ君

お澄まし気味のF君とJ君

で、肝心のパーティトークなんですが・・・。
まず、最近、日本で導入された違法ダウンロード法について、妙に詳しいトークが続きます。
はい、F君は法の成り立ちから罰則について細々と解説をしてくれました。なんでそんなに
こだわるのかなぁ~と不思議がっていると「日本で捕まったら、シャレにならない」という
恐怖感からのようです。

・・・これってパーティに適した話題なのかなぁと疑問を持つ間もなく、話は大学のカルト宗教
サークルになりました。
「オウム真理教」って懐かしい単語が、ノルウェー人の口から出てきます。現役大学生の彼らに
すれば、いまだにカルト宗教っぽいサークルが大学にあるのでは?という危惧があるようで。
ま、日本人の記憶から薄れたことも、ノルウェー人には怖いのだなぁと、何となく理解しました。

段々、話題がブラックに・・・

段々、話題がブラックに・・・

・・・でもこれもパーティに適した話題なのかなぁと疑問を持つ間もなく、二人はいろいろな
ノルウェーの方言をバカにしながら真似しています。あれ~?確かノルウェーでは、
「方言を話すことは立派な権利だったんじゃないの?」とナイーブな日本人は軽くショック
(ウソ、結構、こういうの慣れています)。お互いに、方言を誇張しながら爆笑し合っている図は、
はい、「素敵なホームパーティ」にぴったりでした・・・。

用意したスパークリングワインと白ワインは、あれよあれよと空になり、「場の雰囲気を変えよう」
と私はとっておきの美味しい紅茶をいれます。
ソファーに場所を移して、話題が少しはいい方向に変わるかなぁと期待したのですが・・・。

なぜか「selvmord」(自殺)という単語が耳に入ってきました。「ノルウェー出身」と日本でいうと、
「あ、自殺率が高い国でしょ?」と言われたことがあったとか。
そして、世界で自殺率の高い国はどこか、という統計を得々と披露するF君。

・・・この時点でもう心中、涙目になっていました。せっかくのパーティがどうしてこんなにブラックネタ
ばかりなの!って。あ、でも笑いは絶えませんでした。はい、「黒い笑い」です。
宴も終わりになり、「本当は今日のことエッセイで書くつもりだったけど、話題がネガティブ過ぎて、
どうすればいいの?」と正直に告白すると、さすがにF君とJ君は焦り始めました。しかしタイムアウトです。

当初はこのパーティを「素敵色」に脚色しようかと思いましたが、諦めました。
まだシュリンプは冷凍庫に眠っているので、次回こそ「おしゃれ北欧シュリンプパーティ」
を目指します!
・・・もしかして、ホステスの私に問題アリなのでしょうか?
だとすれば、何回やっても同じですね~。人格、変えます!

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