ノルウェー語講師・青木順子さんのエッセイ > 未分類 > ケーキ戦争 in ノルウェー(フィンランド人も参戦!)
­

ケーキ戦争 in ノルウェー(フィンランド人も参戦!)

ノルウェーのバースデーケーキ

ノルウェーのバースデーケーキ

ノルウェー語から日本語に翻訳しにくい単語に「foreldremote」があります。
Foreldre=「両親」、mote=「会議」ですが、一語にするとどんな意味になるか分かりますか?
これは各クラスの親が一堂に集まり、先生と話し合いをする場のことで、日本語ならば「保護者会」が適当でしょう。

ただ日本の「保護者会」は、お母さんたちの集まり、というイメージがあります。
ですがノルウェーは「両親」とうたっている通り、「父親と母親」が会に参加するのが一般的。両親ともに働いている場合がほとんどなので、平日の夜に開催されます。つまり、お父さんも早く帰宅できることが前提にありますね。
なので、日本語の「保護者会」と訳すのが、微妙に違和感があり、「両親の会」と訳したくなるのですが・・・そうすると、日本人には分かりにくくなってしまう。何とも難しい単語です!

さて、そんな「両親の会」ですが、何とも平和な(?)騒動があったそうです。
ノルウェーの新聞の見出しに「kakekrig」=「ケーキ戦争」という見出しが載っていて、「なんじゃそれ?」と好奇心で記事を読んでみたら・・・。

ノルウェー人男性が焼いたおいしいケーキ

ノルウェー人男性が焼いたおいしいケーキ

オリンピックの街で知られるリレハンメルの学校で、ちょっとした騒動が起きました。
「“両親の会”にケーキを焼いて持っていきませんか?」とあるお父さんがクラスのFacebookに呼びかけたところ、何人かのお母さんが「焼きますよ」とボランティアで申し出たのです。
しかし、フィンランド人のお母さんがこう書き込んだのです。「もう“両親の会”にケーキを持っていくことにうんざりだし、外国人には理解できない。今度は男性たちがケーキを焼くべきです。」

それから、クラスの両親たちに波紋が広がり、問題は「家庭における男女の役割」にまで発展したところが、まぁノルウェーらしいですよね~。

前述のフィンランド人母のコメントを引用してみましょう。
「フィンランドでは”両親の会“は問題を話し合う場であり、ケーキを食べて、くつろごうなんて誰も考えません。ノルウェー人は、くつろぐことばかり考えている。ケーキの準備の提案は、別に母親だけに向けられたものではありませんが、母親がケーキを作ることが期待されています。仕事を終えた後、18時の会にケーキを持ってこいなんて・・・。だから女性は疲れ切ってしまいます。」

夏休み前、ケーキ&コーヒーでくつろぐ図

夏休み前、ケーキ&コーヒーでくつろぐ図

同じ「北欧」とは言え、フィンランド人とノルウェー人の違いが垣間見られて、興味深いですね。

私は、ノルウェー人が自分の誕生日にケーキを焼いて職場に持参したり(男性も!)、夏休み前になると、職場では、フルーツやケーキを用意して、みんなでリラックスするシーンを知っているので、「両親の会」の雰囲気はな~んとなく想像できます。

子どもは無邪気

子どもは無邪気

日本の「保護者会」ではこんな「騒動」は起きないと思いますが、どんな時でも「リラックス」や「くつろぎ」を求めてしまうノルウェー人の国民性が面白いですね。

「ケーキ戦争」—あなたはノルウェー派それともフィンランド派ですか?

7/19の「ノルウェーについて学ぶサロン」は、北欧映画祭としてすっかり定着した「ノーザンライツフィルムフェスティバル」代表の笠原貞徳さんをお招きし、映画祭運営について、また北欧映画の魅力を語っていただきます。
全員ボランティアで運営している映画祭を続けてきたご苦労や裏話にも期待しましょう♪

各回参加の「セレクトレッスン」は、こちらのスケジュールで実施します。お気軽にお申込み&ご参加をお待ちしています♪

「夢ネットOfficial Blog」もぜひご覧くださいね♪