ノルウェー語講師・青木順子さんのエッセイ > 2011 > 6月
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ノルウェー語を仕事にすること

本当は良くないことなのですが、はじめてノルウェーに留学する前に
帰国後の仕事のことをちゃんと考えていませんでした。
漠然と、「翻訳ができればいいかな・・・」と思っていた程度です。

そして留学を終え日本に帰国して、まず最初にやったのは
「ノルウェー語を教える仕事」でした。
なんやかんやで、もうその仕事を14年近く続けています。
他にも、通訳、翻訳、講師、執筆などノルウェー語に関わる仕事を
やっていますが、今のメインは「教える仕事」です。

レッスン風景

「教える仕事」は、本当に奥が深いと思います。最初の頃は、自分が
留学した時に教わった授業を日本でも再現したくて、全部、ノルウェー語で
レッスンをやってみようかと思いましたが、当然、頓挫。終わった後、
いつも「今日のレッスンはダメだった~」と落ち込むことばかりでした。
また会社勤めをしながら教えていた頃は、なかなかレッスンの準備に
時間が取れず、理想のレッスンと現実のレッスンの差を感じて
「どうすればいいのか?」を自問し続けた時期だったと思います。

2006年からノルウェーの仕事だけに絞る環境になり、2007年から
「ノルウェー夢ネット」主催でノルウェー語講座を開くことになりました。
最初は管理人さんと「1クラスだけでも開講できればいいですよね」と
話していましたが、幸いにも複数のクラスが開講できました。

何て書いてある?

少人数制のレッスンスタイルでアットホームな雰囲気づくり。また、じっくりと
生徒さんたちと向き合い、それぞれの受講動機に合わせてフレキシブルに
対応できるよう心がけました。ノルウェーのミージシャンのファンの方には、
ファンレターの代筆をしましたね。そうです、誰でも安心して参加できる
レッスンを目指しました。

あと心に留めたことは、皆さん、お忙しい中わざわざレッスンに来て下さって
いるということ。お仕事や学校帰りだったり、貴重な休日だったり、
そんなみなさんにこんなマイナーなノルウェー語を学んで頂くということは、
恐れ多いことなのです!「ありがたや~」と毎回、感謝の気持ちを
忘れないようにしています。

何て書いてある?その2

レッスンの内容ですが、日本人はどんなポイントが苦手かは合点承知
していますので、そうした点は強調して伝えるようにしています。
「わかりますよ~、私もここ苦手です」と正直にカミングアウトして、
「でもノルウェー語はこうなっているんで、すみません」とノルウェー人に
かわって頭を下げています(でも「フィンランド語よりは簡単ですよ」とか
「チェコ語はすごく複雑みたいです」と他の言語をお借りして言い訳するスタイルも
身につけています。関係者のみなさま、すみません)。

あと大事にしているのは、何といっても「ノルウェー小噺」ですね。テキストを
読むだけではなく、そこから浮かび上がってくる社会背景や時事問題などから、
なるべく笑える事例をご紹介するように、日々ノルウェーのニュースにはマメに
チェックを入れ、ネタを仕入れるようにしています。そう、「早朝、築地に仕入れ」が
ご自慢の料理人のように、ノルウェーの派手なタブロイド新聞をネットで真剣に
読んでネタにさせて頂いています。

ノルウェー語のテキスト

こうした「ノルウェー小噺」は、通訳や翻訳、講演などで得た体験も大きな助けと
なってくれます。「この間来日したノルウェー人一行は、格安居酒屋のサービスに
大感動してくれましたよ~」と、いわばノルウェー人を「売って」商売しています。
ごめんよ~。

ノルウェー情報は、生徒さんから仕入れることも多いです。そう、教える仕事の
だいご味は「教わること」でもあります。

生徒さんの中には、いろいろな言語に精通されている方がいて、「●●語だと
こうですよ」と教わることはしょっちゅうです。また皆さん、それぞれのノルウェー
体験があったりして、「へ~」と感心することもしばしば。「ノルウェー人の友達は
酔っぱらうと木に登ります。」(@東京)なんてエピソードも聞きましたね。
テキストを読んでいて、私が思ったこともないような質問をされたりして、
考えさせられることもあります。例えば、「~時」を意味する「Klokka」(クロッカ)
のことをずっと「コロッケ」だと勘違いされていた元駐在夫人の生徒さんがいました。
クラスみんなで彼女の思い違いに爆笑しました。

話せると楽しい!

幸いにも、まだ「ノルウェー夢ネット」主催のノルウェー語レッスンは続けています。
開講から今日までに、お問い合わせも含めると120名を超える方からコンタクトが
ありました。いつも北欧語の中で一番人気がないと揶揄されるノルウェー語ですが、
なかなかどうして。今までたくさんの出会いを作ってくれました。そのことに素直に
感謝しつつ、新しい出会いにも期待をしつつ、今日もレッスンは続きます。

7月開講の「ノルウェー語レッスン&ホームサロン」は現在、参加者を募集中です。
ぜひご応募をお待ちしています♪