ノルウェー語講師・青木順子さんのエッセイ > 2011 > 4月
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スウェーデンはお好き?

お隣の国というのは、よくも悪くも、いいところ、悪いところが目につきませんか?

一番初めに留学した時のこと。
イースター休暇の旅行で、スウェーデンに行くことにしました。
「スウェーデンに行くんだ」と寮の仲間たちに話すと、みんな真顔で「スウェーデン人は
アホばっかりだから」と言うのです。キリスト教を信心する真面目なおじさん学生までが
同じことを口にするので、とてもびっくりしました。そしてノルウェー語の授業で、
ノルウェーのジョーク集をまとめたプリントを読んだのですが、やたらとスウェーデン人を
からかう内容のものが多かったことにも、「なぜ?」と疑問に思ったのです。

スウェーデン!

いうまでもなくスウェーデンは隣国です。同じ隣国でもデンマーク人のことは
「陽気で楽しい」と手放しに誉めるノルウェー人。でもなぜスウェーデン人のことは
馬鹿にしようとするのか、最初は理解に苦しみました。でも馬鹿にする割には、
みんなスウェーデンのテレビを喜んで見ているし、スウェーデンのミステリーも人気だし、
スウェーデン映画はノルウェー映画よりヒットするし、H&MやIKEAもたくさん店舗が
あります。こんな具合で、スウェーデンの影響をかなり受けているのです。何よりも、
「北欧」というくくりで語られる時、スウェーデンが真っ先に名前を挙げられることに、
みんな納得している様子(フィンランドだと「え?」と怪訝な顔になりますが・・・)。

ノルウェーのIKEA

実のところあまり相手にされていないようですが、ノルウェーはスウェーデンを
「ライバル視」している節があるようです。ヨーロッパで開催される大きなポップ
ミュージックの祭典「メロディーグランプリ」でそれは顕著です。番組では、各国から
代表の歌手が歌って、他国の人がいいと思った国の歌手にポイントをあげるシステム
になっています。その時、必ず「スウェーデンはノルウェーにあまり点をくれませんね」
とか、「スウェーデンよりノルウェーは上に来ました!」とノルウェー人司会者が半ば
「様式美」のようなコメントをするのです。そしてやっぱり学生寮でこの番組をみんなで
観ている時、スウェーデンに「勝った」とか「負けた」とか言って盛り上がっているのでした。
でもみんな真面目に怒ったりするのではなく、すごく楽しそう。これって一種のゲーム?
となんとなく、愛憎まじりのノルウェー人の対スウェーデン人観の機微に触れた気がしました。

「メロディ・グランプリ」

あと印象的だったのは、2005年5月終わりから6月にかけてノルウェーに行った時のこと。
ノルウェーは毎年5月17日がナショナルデーで、盛大にお祝いをします。民族衣装に国旗を
持って、ほとんどの国民が行進を行います。そして、なぜかその年、スウェーデンでも
ナショナルデーを祝う初めての年とかで、ノルウェーのテレビがスウェーデンから中継しました。
あいにく天気に恵まれず、ノルウェーのナショナルデーの熱狂とはほど遠い雰囲気が映し出さ
れると、ノルウェーのテレビはあからさまに「ノルウェーの5月17日より、全然、盛り上がって
いませんね」と、嬉々としてコメントしていました。う~ん、スウェーデン人は張り合っていないような・・・。

ノルウェーのナショナル・デー

ただ前述したように、ノルウェーはスウェーデンのテレビを見ている人が多いので、スウェーデンに
関する知識が豊富です。でもスウェーデン人はノルウェーのことをあまり知りません。そしてその
事実をまた「自虐的に」ノルウェー人は自覚しています。

「どれほどスウェーデン人はノルウェーのことを知らないか」という特集記事を読んだことが
ありました。現ノルウェーの国王の名前を知らないスウェーデン人が結構いる、という残酷な
結果に、悔しがりながら、どこか「やっぱりね」とマゾ的に喜んでいるノルウェー人。

本当はスウェーデンが気になって、大好きなのではないでしょうか?
でも愛情をストレートに表現するのは恥ずかしいのかしら?
小学生の男の子みたい、と言ったらノルウェー人に怒られるかな?でも、私にはそう感じられます。

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