ノルウェー語講師・青木順子さんのエッセイ > 未分類
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子ども新聞 in ノルウェー

仕事柄、ノルウェーの新聞は購読したり、ネット版をチェックしています。
愛読紙「アフテンポステン」が2年前に「アフテンポステン・ジュニア」紙をスタートしたことを知りました。子ども向けの新聞と銘打ってあります。
以前、「ノルウェーについて学ぶサロン」で「ノルウェーの社会科教科書」について取り上げたことがありました。完全に大人と生徒が対等である教科書づくり、社会の負の面にも言及し、地に足のついた内容に驚いたのです。
ですから、この「子ども新聞」がどんな内容なのかすご~く気になりました。すぐに見たかったのですが、Web上では公開されていません。今年5月に渡ノルした際にようやく現物をゲットしました!

子ども新聞

子ども新聞

「子ども新聞」は、大人向け新聞と同じ体裁をとっています。海外・国内ニュース、特集、経済、科学、スポーツ、意見コーナーなど。簡単な表現や言葉は使っていても、子ども向けでも内容は「シリアスかつ現実的」です。

例を挙げてみましょう。
まず国内ニュースの特集は、「子どもに対する虐待」です。Q&A方式で、「子どもに対する虐待って何?」「どうして大人はこんなことをするの?」「どうして声を上げられない子どもが多いの?」などの質問に、明快な答えを与えています。

何を考えている?

何を考えている?

虐待にあっている子どもたちの心配である「自分が訴えたら、残された家族はどうなるの?」、「ママやパパはどうなっちゃうの?」といった質問に対しても、児童局の仕事について分かりやすく説明し、子どもの不安を和らげようとする意図が見えます。
特集全体を通じてのメッセージは、「周りの信頼できる大人に伝えること」。
これは、翻訳出版に携わった「パパと怒り鬼」というお父さんのDVに悩む子どもの絵本と共通したメッセージです。

他に目を引くのは、「国際面」の充実ぶりです。
ノルウェーに留学して驚いたことの1つにニュース番組や新聞で「海外ニュース」の報道比重の多さがあります。
それは「子ども新聞」でも同じでした。まず1面と2面は、世界のいろいろな国でどんなニュースが起きたか、そして特集ページでは、昨年11月にフィリピン台風で被災した子どもたちのレポートが掲載されています。
ノルウェーは小国で国内ニュースが少ないから、海外ニュースが多いという解釈もできます。ですが、海外での内戦などが起きたら、難民としてノルウェーが受け入れる、ノルウェーが派兵するといった「身近な問題」として、また国内にたくさん住んでいる移民や難民の母国情勢を知るうえでの助けとなるという事情もある、と考えるようになりました。
早い時期から「海外に目を向ける」姿勢が、紙面から読み取れます。

どうしたの?

どうしたの?

ノルウェーは世界でも屈指の「男女平等の先進国」です。
よく「どうして北欧やノルウェーは、男女間の不平等が少ないのですか?」という質問は受けますが、小さい頃からの教育の積み重ねは大きな要因ではないでしょうか?
子ども新聞では、「どうして男の子が多いスポーツ、女の子のスポーツがあるの?」という特集が組まれていました。
例えば、「乗馬」。「男の子のスポーツ」というイメージがある国が多いですが、ノルウェーでは逆です。
そこでこの特集では、希少な「乗馬を楽しむ男の子」を写真入りで取り上げ、「女の子のスポーツ、男の子のスポーツって決めつけるのは変だよね」という男の子の率直なコメントが掲載されています。
他にも、フィギュアスケートをやっている女の子は390人に対し、男の子は8人。フェンシングは男の子が613人に対し、女の子は155人、と具体的な数字を挙げて、「へえ~」と改めて男女の違いの現状が、わかる記事になっています。

さらにさらに驚いたのは「経済面」です!
高校生の社会科教科書でも驚きましたが、「お金」について真正面から考えさせられる内容が盛り込まれています。
「お金が余ったら貯金をしよう。そうすれば利子がつく。もっと長い間、貯金をすれば将来は株が買えるようになる。」と子ども相手に「株購入」までアドバイスする新聞って・・・。カルチャーショックですね~。

紙面では、大人からの一方的な記事を与えるのではなく、子どもたちの意見や質問などにも多くのページを割き、「対話型」のツールになっています。
「おかしいと思うこと」
「自分の意見をはっきり言うこと」
「困っていたら声を上げること」
簡単そうでできないですよね。でも、小さい時からのトレーニングで、やがて「声を上げられる大人」に育つのだなぁとしみじみしちゃいました。

スクールツアー

スクールツアー

「どうせ子どもだから分からない」ではなく、「子どものうちから、目を開かせよう」というノルウェー人らしさが垣間見られた「子ども新聞」。
ノルウェーやノルウェー人についてからかってばかりの私ですが、素直に「いいね!」ボタンを押したい気分です。

7/19の「ノルウェーについて学ぶサロン」は、北欧映画祭として定着した「ノーザンライツフィルムフェスティバル」代表の笠原貞徳さんをお招きし、映画祭運営について、また北欧映画の魅力を語っていただきます。
http://homepage2.nifty.com/norway-yumenet/info/kouzaannai2014/kouzaannai2014.htm

各回参加のセレクトレッスンはテーマ別にお気軽に参加できます♪
http://homepage2.nifty.com/norway-yumenet/info/norskkurs/norskkursschedule.htm

お待たせしました!好評につき第3弾を7/26日に「北欧をまるごと楽しむ~北欧ぷちとりっぷ vol.3」にスピーカーとして参加します。夏の「北欧大感謝祭」に参加しませんか?

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