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ノルウェー人の「取扱い説明書」

ノルウェー人は人口が少ないこともあって、いわゆる「ノルウェー人論」というジャンルは活況とは言えません。ましてやノルウェー人を風刺した「ノルウェー人論」となると、さらに数は限られます。

ですが、このある意味「ニッチな」ジャンルに果敢に挑戦し、国民から愛されているのが、オッド・ブッレッツェン(Odd Børretzen)というノルウェー人。現在、85歳の彼は、作家、ラジオパーソナリティー、ボーカリストなど多方面で活躍してきました。

フィンツアーエッセイ(第17回)この本です!(擦り切れてます)

フィンツアーエッセイ(第17回)この本です!(擦り切れてます)

私が彼の有名なエッセイ集「どのようにノルウェー人を理解し、使用するのか?」(1991年、”Hvordan forstå og bruke en Nordmann”)を知ったのは、在ノルウェー日本大使館の外交官が講演会で紹介して下さったからです。「面白そうな本!」と思った私は早速、原書を買い求め読んだのですが・・・。

文句なく面白い!!

もちろん20年以上も前の作品なので、今では少し「違うかな」と思える箇所もあります。

しかし、ちょっとでもノルウェー人や北欧人を知っている人ならば、笑えること確実です。これから彼らを知りたい人にも、絶好の入門書なので内容をご紹介しましょう。

本書は、電気製品などの「取扱い説明書」=「取説」の体裁を取っています。「ノルウェー人も海外へ出かけ、外国人とコンタクトを取るようになり、ノルウェー人の“取扱い説明書”が必要になった」と冒頭、宣言されています。何か、説得力ありますね~。

「取扱い説明書」では、ブッレッツェン独自のノルウェー人論が展開します。
彼によると、古代ノルウェー人は8000年もの間、穴倉で孤独に暮らしてきた結果、様々な人格・行動に影響を与えました(多弁を嫌う、酒の保存方法を知らないので、そこにある酒は一気に飲み干してしまう、etc)。
またノルウェー人は世界的に人口が少ないので、自分は「意味があり、価値のある」人間だと思いこみ、「みんなが自分を見ている」とある種、”自意識過剰気味”と断じています。「ええ?そうだったの?」と思って読み進めると、不思議なオチが・・・。

祖先は穴倉で8000年暮らしていました

祖先は穴倉で8000年暮らしていました

ノルウェー人は「みんなが見ている」ので、レストランなどで自分の立ち居振る舞いに緊張してしまいます。特に手がすごく大きいので、やり場に困ってしまいます。困ったノルウェー人は、その大きな手をポケットに入れるしかありません。ですから、彼らはポケットの付いた洋服を愛用しています、と、煙に巻かれたような「三段論法」です。

確かにノルウェー人はポケットの付いた上着、好きだよね、と妙に納得する私。う~ん、いいのでしょうか?

他にも、ノルウェー人は自尊心が強く、率直な物言いで知られていますが、ある注意が必要だそうです。彼らはよく「ノルウェーの政治家、自動車修理工、ウェイター、夏、スキージャンパーは世界でも最悪」と言いますが、これを外国人は額面通りに受け取って、うかつに同意するとノルウェー人の機嫌を損ねてしまうそうです。ノルウェー人の本音はその逆で「ノルウェーの政治家や自動車修理工、ウェイター、夏、スキージャンパーは世界で最高」なのだとか。とほほ。

ノルウェー人がいっぱい

ノルウェー人がいっぱい

さらにグローバル化が進んだ現在、どうやってノルウェー人を他の外国人と見分けるか、という難問についてのくだりがあります。
昔だったらば、ノルウェー人はOla(オーラ)かKari(カーリ)という名前で、頭にニット帽をかぶり、魚の臭いがして、足にはスキー板を履いていたので区別が簡単でした(って、私の説ではないですよ!)。でも現代では・・・?こう質問すればいいそうです。「あなたはスウェーデン人ですか?」
すると、ノルウェー人は怒り狂って、「スウェーデン人だと?俺はノルウェー人だ!」と答えるので、簡単に分かりますよ、というアドバイスでした(良い子のみなさん、これはあくまでユーモアです!)。
そう、本書ではスウェーデン人への微妙な対抗意識が散見されて、それもクスクス笑えます。

「あなたはスウェーデン人ですか?」

「あなたはスウェーデン人ですか?」

本書は英語、ドイツ語、フランス語にも翻訳されているので、ノルウェー人に「お困りの方」はぜひご活用をオススメします♪

4月から開講する「ノルウェー語&ホームサロン」が募集中です。月曜19時、日曜15時半の枠、特に熱烈歓迎♪春から、新しくて珍しいこと始めませんか?
http://homepage2.nifty.com/norway-yumenet/info/norskkurs/norskkursannai.htm

今年も行きたいぞ、ノルウェー。ということで「ノルウェー案内人青木順子さんと行く第2回ベストシーズンのフィヨルドとオスロ暮らしを感じる旅8日間」も絶賛、募集中です。
http://www.nordic.co.jp/tour/pac/tour/fp0300_11953.html

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