ノルウェー語講師・青木順子さんのエッセイ > 2014
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ケーキ戦争 in ノルウェー(フィンランド人も参戦!)

ノルウェーのバースデーケーキ

ノルウェーのバースデーケーキ

ノルウェー語から日本語に翻訳しにくい単語に「foreldremote」があります。
Foreldre=「両親」、mote=「会議」ですが、一語にするとどんな意味になるか分かりますか?
これは各クラスの親が一堂に集まり、先生と話し合いをする場のことで、日本語ならば「保護者会」が適当でしょう。

ただ日本の「保護者会」は、お母さんたちの集まり、というイメージがあります。
ですがノルウェーは「両親」とうたっている通り、「父親と母親」が会に参加するのが一般的。両親ともに働いている場合がほとんどなので、平日の夜に開催されます。つまり、お父さんも早く帰宅できることが前提にありますね。
なので、日本語の「保護者会」と訳すのが、微妙に違和感があり、「両親の会」と訳したくなるのですが・・・そうすると、日本人には分かりにくくなってしまう。何とも難しい単語です!

さて、そんな「両親の会」ですが、何とも平和な(?)騒動があったそうです。
ノルウェーの新聞の見出しに「kakekrig」=「ケーキ戦争」という見出しが載っていて、「なんじゃそれ?」と好奇心で記事を読んでみたら・・・。

ノルウェー人男性が焼いたおいしいケーキ

ノルウェー人男性が焼いたおいしいケーキ

オリンピックの街で知られるリレハンメルの学校で、ちょっとした騒動が起きました。
「“両親の会”にケーキを焼いて持っていきませんか?」とあるお父さんがクラスのFacebookに呼びかけたところ、何人かのお母さんが「焼きますよ」とボランティアで申し出たのです。
しかし、フィンランド人のお母さんがこう書き込んだのです。「もう“両親の会”にケーキを持っていくことにうんざりだし、外国人には理解できない。今度は男性たちがケーキを焼くべきです。」

それから、クラスの両親たちに波紋が広がり、問題は「家庭における男女の役割」にまで発展したところが、まぁノルウェーらしいですよね~。

前述のフィンランド人母のコメントを引用してみましょう。
「フィンランドでは”両親の会“は問題を話し合う場であり、ケーキを食べて、くつろごうなんて誰も考えません。ノルウェー人は、くつろぐことばかり考えている。ケーキの準備の提案は、別に母親だけに向けられたものではありませんが、母親がケーキを作ることが期待されています。仕事を終えた後、18時の会にケーキを持ってこいなんて・・・。だから女性は疲れ切ってしまいます。」

夏休み前、ケーキ&コーヒーでくつろぐ図

夏休み前、ケーキ&コーヒーでくつろぐ図

同じ「北欧」とは言え、フィンランド人とノルウェー人の違いが垣間見られて、興味深いですね。

私は、ノルウェー人が自分の誕生日にケーキを焼いて職場に持参したり(男性も!)、夏休み前になると、職場では、フルーツやケーキを用意して、みんなでリラックスするシーンを知っているので、「両親の会」の雰囲気はな~んとなく想像できます。

子どもは無邪気

子どもは無邪気

日本の「保護者会」ではこんな「騒動」は起きないと思いますが、どんな時でも「リラックス」や「くつろぎ」を求めてしまうノルウェー人の国民性が面白いですね。

「ケーキ戦争」—あなたはノルウェー派それともフィンランド派ですか?

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