ノルウェー語講師・青木順子さんのエッセイ
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トロールは存在する?映画「トロール・ハンター」の衝撃!

旅にお土産はつきものです。
しかし、ノルウェーを旅された方々は口ぐちに「適当な土産がない」とお嘆きの様子。確かに、土産物に入ると、日本人受けしない異形の人形が数多く並んでいます。その人形の名は「トロール」。
トロールはノルウェーの民話で、森や山に住む「超自然生物」として、不動の地位を築いています。でもこの人形、ホント、可愛くないし、値段は高いし、お土産には不向きなんですよね。それでも土産物屋にはたくさん並ぶトロール人形。実はムーミンもトロールなんですが、さすがフィンランド人、誰からも愛されるトロールを生みだしました。

トロール人形!

トロール人形!

トロールと遊ぼう♪

トロールと遊ぼう♪

で、そのトロールなんですが、実は昨年、ノルウェーで大きな注目を集めました。「トロール・ハンター」(原題Trolljegeren)という映画が大ヒット。私もネットのニュースでその存在を知り、また、ノルウェー人の友達から今年のクリスマスプレゼントにDVDをもらいました。
と同時進行で、Twitterでこの「トロール・ハンター」が3月に日本でも上映することを知り、「おお~!」と盛り上がりました。
そして年の瀬もせまった12月末に「トロール・ハンター」の試写会に足を運ぶ機会を得ました。

映画はセミ・ドキュメンタリータッチで撮られています。西ノルウェーのヴォルダ・カレッジの学生たちが、謎の男性を追っていく様子から映画は始まります。
余談ですが、このヴォルダ・カレッジは私が最初に留学したところで、またまた「おお~」と親近感UP。映画の舞台として、ヴォルダやSogn og Fjordane(ソグン・オ・フィヨルダーネ)地方が映し出されて、懐かしさに涙。
さて謎の男を追う学生たちは、夜の森で不可解な生命体に遭遇します。謎の男は「トロールだ!」と叫び、学生たちは「まさかトロールが実在するのか?」と謎の男を詰め寄ります。
民話の世界を越えて、本当にトロールは存在するのでしょうか?

映画「トロール・ハンター」から

映画「トロール・ハンター」から

「トロール・ハンター」はノルウェーの民話を知っていると、より楽しんで観ることができます。
例えば、「三匹のやぎのがらがらどん」(原題:De tre Bukkene Bruse)を思い出させるシーンがありました。民話では、三匹のやぎが橋の下にいるトロールに「お前を食べてやる!」と脅かされますが、機転を利かせてトロールをやっつけてしまいます(基本的にトロールはおバカさんです)。
映画では、橋の上に3匹のやぎが囮として置かれて、そこにトロールが・・・!というシーンがあります。

民話だけではなく、ノルウェーの現代社会問題も映画は反映しています。自然が美しいことで知られるハルダンゲル地方に、景観を台無しにするような高い電送線を建設することの是非がノルウェーで議論になっています。でも、実はこの電送線は暴れまわるトロールの防御対策のためだとしたら・・・?映画の結末は怖いです!

ノルウェーについて知識が全くない方でも楽しめる映画です。
この映画を見たら、お土産屋に並んでいるトロール人形を今までとは違う目で見るようになりそうです・・・。
とりあえず春になったら、映画館へGo!

街の中にもトロールが

街の中にもトロールが

「トロール・ハンター」
3月24日(土)TOHOシネマズ日劇<レイトショー>他全国ロードショー

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