ノルウェー語講師・青木順子さんのエッセイ > satoshiの記事
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散歩の達人

・・・という雑誌がありますね。最近、街歩きなど流行っているようで、うちの近所ですら地図を片手に歩いている集団に出くわすことがあります。

日曜は散歩ラッシュ

日曜は散歩ラッシュ

ノルウェーに最初に留学したのは、山と海、森に囲まれた田舎町だったのですが、段々、気づいたことがありました。
「ジャージで散歩している人が多い!」という事実。
何人かで歩いているグループもあれば、一人黙々と歩く人もいる。特に土曜日や日曜日は、ひたすら歩いている人たちを多く見かけ、こう結論づけました。
「ノルウェーでは散歩が娯楽である」と。はい、立派なレジャーです。しかもお金がかかりません。いいじゃないですか~!
特に私が留学したのは西ノルウェー。アップダウンの起伏があり、森もあり、湖もあり飽きない眺めです。学生寮の住人たちも、段々、仲が良くなるにつれ、一緒に散歩へ出かけるようになりました。私はチェコからの留学生と一緒に湖一周サイクリングの方が多かったのですが、たまに歩くと、キノコやベリー類がふんだんにあって、時々、摘んでは自然の恵みを感じました。
で、オスロに留学した際は、学生寮の近くにやはり森と湖がありました。「これはもう歩くしかないでしょ!」と少しノルウェー人に同化しつつあった私は、学生寮の部屋が近くのノルウェー人の女の子と毎日曜日朝、歩くことにしました。
散歩をしていると会話も自然と流れていきます。この散歩習慣で、私のノルウェー語も少しはうまくなったような・・・気がします。
雨が降ると私は「今日は、散歩やめるね」と言いました。すると友達が不思議そうな顔で、「え?どうして?」という反応だったのです。彼女は雨の中、傘もささず散歩に出かけ、ずぶ濡れで帰ってきました。「大丈夫?」と私が尋ねると、「シャワーを浴びればいいだけだから」と事もなげに言うのです。これには驚きました。
どんな悪天候でも物ともせずに散歩を続けるノルウェー人。こんなことわざがあります。
”Det fins ikke dårlig vær, men bare dårlige klær”.(悪い天気は存在しない、悪い洋服だけがある)。
これを説明すると、様々な天候に対応した服装・装備をすれば、どんな悪天気でも大丈夫、みたいなニュアンスでしょうか。だから、あのシャリシャリしたスポーツウェアをしょっちゅう、着ているのだなぁ~と感心。保育園の子どもたちは汚れてもいいツナギですものね。
今では旅行でしかノルウェーに行きませんが、オスロで居候させてもらっているノルウェー人の友達と、やはり近くの森を散歩します。彼女曰く、「1日中、家にいると良心の呵責をおぼえる」とのこと。どこまでも、frisk luft(新鮮な空気)を求めるノルウェー人の姿がそこにあります。そういえばこんなことわざもありました。
”Ut på tur、aldri sur.“(散歩に出れば、不機嫌にはならないよ)
ここまでくれば「娯楽」の域を超えて、人生訓のように聞こえます。
不思議なのは、ノルウェーではあんなに歩いて大丈夫だし、楽しいのですが、日本に帰って来ると、そういう気分が消えてしまうことです。歩くのは用事があるからで、わざわざ散歩は楽しみません。ノルウェー旅行から帰って来た数日は、「よし、歩こう」という気分になるのですが、どんどん尻つぼみに。そして元の「歩かない」生活に逆戻りです。
仕事が終わるのも早いし、たくさん歩くし、ノルウェーって本当に健康な生活ができるなぁと、今日もPC前に座り、部屋の中から雨を見ている次第です。

かなり街中を歩きます

かなり街中を歩きます

散歩中にばったり知り合いと

散歩中にばったり知り合いと

ネコも散歩

ネコも散歩

もうかなり寒いですが・・・・

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