ノルウェー語講師・青木順子さんのエッセイ > satoshiの記事
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そうだ、公園へ行こう

それにしても、なんで東京に来るノルウェー人は、みんな「代々木公園」に行きたがるのか、不思議な気がします。あんなに自然に恵まれた国から、大都会の東京にわざわざ来るんだから、別に「公園」に行かなくてもいいと思うのですが、「東京の公園に行きたい」と言って、「代々木公園」に足を運ぶのです(明治神宮とセット売りです)。やはり、ノルウェー人にはある程度の「自然」がないと、空気がなくなるように、生きていけないのでしょうか?ナゾは尽きません・・・・。

・・・でも、分かるような気がするのです。

オスロに行ったら、どこに行けばいいのか?という質問に対して、「フログネル公園」(Frognerparken)と、まずは公園を勧めていますから。

そう、オスロに行ったら、「フログネル公園」がオススメの観光スポットです。

この公園内には、ヴィーゲラン(Vigeland)というノルウェーを代表する彫刻家の彫刻が、何百も並んでいます。どこが終わりか分からないほど広大な公園の歩道の両サイド。そこに肉づきの良い裸の老若男女の像が、さまざまな姿態で私たちを迎えてくれます。さらに歩を進めると、121人もの人間が折り重なった「人間の塔」(モノリッテン/Monolitten)がでーん、と「どうだ!参ったか!」という感じで、そそり立っています。そしていろいろな国からの観光客が熱心に写真を撮っていたりするわけです。

怒りん坊の像

実は私、この「フログネル公園」は好きなのですが、ヴィーゲランの彫刻はあまり好きではありません。「秘すれば花」の文化圏の人間には、真っ裸でポージングを決められると、どうにもこうにも落ち着かないのです。なので、公園に行っても彫刻の鑑賞は、あまりせずに、もっぱら公園内のカフェでまったりするのが、好みのスタイルです。

今年の初夏、公園内のオープンカフェに座っていました。日曜日で天気が良いという条件が重なって、たくさんの人であふれかえっています。もちろん、お決まりの団体観光客もいるのですが、家族連れのノルウェー人たちも、散策や芝生で寝っころがったり、思い思いに公園を楽しんでいるのが印象的でした。そこで知り合いの日本人家族にも、偶然、会ったりして、「やっぱりみんなに愛されているスポットなのね」と再認識した次第です。

この公園は四季を通じて、見せる表情も変わります。

夏は観光客が大勢いて明るいですし、秋は紅葉がすばらしい。冬の雪景色も風情がありますし、春になれば、「これからどんどん日が長くなる」という期待感に満ちてきます。

10年ほど前、オスロ大学に留学中は日々、勉強に追われて肩でゼイゼイ息しているような感じでしたが、たまに「どうしても行きたい!」と欲求に駆られて、訪れていました。

先ほど、彫刻は好きではないと書きましたが、公園全体の雰囲気が、好きなのです。うまく言葉にはできませんが・・・。入口には、ワッフルを焼いて売っている女の子がいたり、スケボーを楽しむ男の子たちがいたり、ひとりただずむ異国人(←わたしのこと)がいたり、みんなが好き勝手をしていいんだ、と公園の持つ「懐の広さ」に惹かれているのかな・・・と。強いて申し上げますと。

今では年に1回しかノルウェーに行くことはありませんが、オスロに行くたびに必ず訪れる場所です。

オスロは、ここ10年で街が大きく変わりました。
でも、変わらない場所の一つが「フログネル」なのです。
昔と今の自分に思いを馳せながら、歩くのも乙なものです。

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