ノルウェー語講師・青木順子さんのエッセイ > satoshiの記事
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きっかけはオーロラツアー☆

今では、もはや「冬の定番」のオーロラツアー。でも90年代初め、旅行代理店のパンフレットで「オーロラツアー」なる文字を見つけた時は、「お~!!」と感動したものでした。極寒の地でオーロラを観測、昼間は犬ぞり体験や少数民族サーメ人のキャンプ訪問など、まるでTV番組?と思えるようなレア感をそそるものでした。こんなに「秘境」チックなのに、ツアーのお値段も手ごろに感じた私は姉とともに、ツアーの申し込みをすることに。行先はノルウェーのトロムソ(Tromsø)。はて?当時の私は「ノルウェー」なる国に何の思い入れも知識も、ほとんどありませんでした。ただ、パンフレットの注意書き「スキー場に行くような服装でご参加ください」が妙に引っかかって、完全防備で成田空港へ赴いたところ・・・。

異様に着膨れした一団が見えたところが、ツアーの集合場所でした。参加人数は30人以上いたでしょうか。みなさん、これから秘境に行くぞ!という気合で満ち満ちています。何度か飛行機を乗り継ぎ、いよいよ目的地のトロムソに到着したら、なんと天気は雨!雪ではなく、雨です。気温も思ったほど低くなく、「こんな気候で、オーロラが見られるの?」とみんなの心は、少しブルーに・・・。

犬ぞり出発!(イメージ)

犬ぞり出発!(イメージ)

結果としてツアーの間中、オーロラの観測は叶いませんでした。それでも、全然がっかりしなかったのは、他のアクティビティーが楽しかったこと、トロムソの素朴な街並みに魅了されたことに尽きますね。犬ぞり体験では、頭のいい犬たちに翻弄され、そりから振り落とされそうになったけど、「きゃほ~」と爽快感を満喫。また、サーメ人のキャンプ訪問では、直火でトナカイの肉が焼かれて、それをアメリカンなコーラと共に食すという貴重な体験をしました。トロムソ観光では、有名な北極教会を訪れました。教会の内部は暖かい木目調。突然の極東からの訪問者たちを地元の人々は驚きながらも、受け入れてくれました。

トロムソの北極教会

トロムソの北極教会

さらに忘れ難かったのは、ノルウェー人ガイドの女性が、私たちツアー一行を全員、自宅に招いてくれたことです。ちょうどクリスマス前の時期で、お家はクリスマスのデコレーションで彩られ、ほっこり度マックスでした。日本のちんまりした家に慣れた身からすれば、こんな大人数を一度に呼べる家ってすごい!と感心しきりです。仕事を離れたノルウェー人の優しい心持に、感激しました。

そうなんです、何だか観光ずれしていない「純な心」に魅了されたツアーでした。

ガイドさんもそうですし、ホテルでも枕銭を置いても受け取らない。当時、バブルに浮かれた日本人は、海外でお金がらみの不快な思いをすることもありましたが、それとは異なるノルウェー人の対応が印象に残ったのです。

「こんな北の果てで、人々はどうしてこのような豊かな暮らしができるのだろう?」この「“豊か”には」物質的、精神的、両方の意味を含みます。私の疑問と興味は帰国後も続き、次の夏にはフィヨルド地帯を観光し、さらにノルウェーに魅了されました。挙句の果てには、学べる場所が限られていたノルウェー語の語学教室へ通うことを決意。OLをしながらのノルウェー語学習は、久しぶりに「勉強するぞ!」という意欲を掻き立て、仕事以上に真面目にやっていた記憶があります。

いや~、若さって怖いですね。なんと会社を辞めて、ノルウェー留学という道を選びました。そこから先は・・・・。はい、現在につながっています。

今まで数限りないほど「どうして、ノルウェー語なんてやっているの?」という質問には、本当はこうしたマイストーリーがあるのですが、適当にはしょってきました。でも今回は納得していただけたでしょうか?

一つのツアー旅行がきっかけで、こんなに人生が変わるとは・・・・。今の時点では、「おもしろい!」と断言できます(先のことはケ・セラ・セラです・・・)。 

森の中に浮かぶオーロラ(イメージ)

森の中に浮かぶオーロラ(イメージ)

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